HPVワクチン
はじめに(子宮頸がんとHPV)
子宮頸がんの主因はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染です。HPVはきわめて一般的で、性的接触のある多くの方が生涯に一度は感染します(90%程度と推計)。
子宮頚癌は、若年〜壮年の女性に発症が多く、日本では近年も罹患・死亡が上昇傾向です。予防の柱はワクチン接種と2年ごとの子宮頸がん検診(20歳以上)です。
また、肛門がん、尖圭コンジローマ、咽頭がんは、大部分がHPV由来で男性にも発症する癌として知られています。
HPV由来のがん(代表)
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子宮頸がん:ほぼすべてがHPV関連
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肛門がん:90%前後がHPV関連
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中咽頭がん:60〜70%がHPV関連(地域差あり)
「性交経験があっても」接種する価値
性交経験があってもHPVの全ての型に既感染であることはまれなため、未感染の型に対する予防効果が期待できます。
年齢が上がるほど効果は相対的に低下するものの、「今からでも遅すぎる」ということではありません。
対象年齢と公費(2025年9月時点)
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定期接種(公費・無料):小学校6年〜高校1年相当の女子(標準:中1)
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男性の接種:任意(自費)です。
使えるワクチンと違い
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シルガード9(9価):HPV 6/11/16/18/31/33/45/52/58
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ガーダシル(4価):HPV 6/11/16/18
カバー型が多いほど理論上の保護範囲は広がります。
男性への適応と接種のメリット(最新)
2025年8月、シルガード9が男性にも適応拡大されました。
肛門がん、尖圭コンジローマ、咽頭がんへの予防が期待されます。
接種回数・スケジュール
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2回接種:9〜14歳で開始(1回目→6〜12か月後に2回目)
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3回接種:15歳以上で開始(0・2・6か月が目安)
安全性(よくある副反応)
最も多いのは注射部位の痛み・発赤・腫脹などの一過性反応です。9価(シルガード9)は4価(ガーダシル)より注射部位反応がやや多いとするデータがあります。重篤な有害事象はまれで、有効性がリスクを明らかに上回ると評価されています。
HPVワクチンの料金
共に、2-3回の投与が必要です。
| ワクチン名 | 接種 回数 |
接種スケジュール | 金額 (税込) |
|---|---|---|---|
| ガーダシル | 3回 | 対象年齢は補助あり | 21,000円/回 |
| シルガード9 | 3回 | 対象年齢は補助あり | 29,700円/回 |
子宮頸がんワクチンのよくある質問
最短4か月で接種できます。
1回目→1か月後、2回目→3か月後、3回目
医師に相談の上で、可能です。接種はシルガードのスケジュールを用いてになります。
いいえ、ありません。残りの回数のみ接種すれば大丈夫です。