高血圧とは
高血圧とは、血管にかかる血液の圧力が常に高い状態のことです。
放置すると、心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞、脳卒中、腎臓病などのリスクが高まります。
プラーカ中村クリニックには高血圧を専門的に診察できる総合内科専門医、内科認定などが複数在籍しています。
自覚症状がないことが多いため、定期的な血圧測定を行いましょう。
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朝起きてお仕度する前(できれば就眠前も)の血圧をメモする
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収縮期血圧>140が多ければ、早期に受診する

高血圧ガイドラインより(血圧レベル別治療管理計画)
高血圧が引き起こす主な病気
脳卒中(脳梗塞・脳出血)
血圧が高いと脳の血管が詰まったり破れたりしやすくなり、半身まひや寝たきり、命に関わる状態になることがあります。
心筋梗塞・狭心症
心臓の血管が狭くなることで、胸の痛みや心臓発作を引き起こします。高血圧はこれらの病気の最大の原因のひとつです。
心不全
血圧が高いと心臓に負担がかかり続け、心臓の働きが弱くなります。
腎臓病(腎不全)
腎臓の細かい血管がダメージを受け、老廃物を排出できなくなります。進行すると人工透析が必要になります。
動脈瘤(大動脈瘤破裂)
血管壁が弱くなり膨らむことで、突然破裂して命に関わる状態になることがあります。
高血圧の主な原因と新潟県の特徴
高血圧には生活習慣や体質が関係しています。
塩分の取りすぎ
塩分を過剰に摂ると、血液中の水分量が増え、血圧が上がりやすくなります。
新潟県では、味噌汁、漬物、塩鮭など塩分の多い食品を日常的に食べる習慣があり、全国平均より塩分摂取量が多いと言われています。このことが高血圧のリスクを高める要因の一つです。
肥満や運動不足
体重が増えると血管や心臓に負担がかかり、血圧が上がりやすくなります。また、運動不足も血圧上昇の一因です。
ストレス
ストレスが続くと交感神経が過剰に働き、血圧が一時的に上がり、それが慢性化することがあります。
遺伝的要因
家族に高血圧の人が多い場合、遺伝的に血圧が上がりやすい傾向があるとされています。
加齢
年齢が上がるにつれて血管が硬くなりやすくなり、血圧も上がりやすくなります。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上げます。また、喫煙により血管の内側が傷つき、動脈硬化を進行させて高血圧が悪化します。
新潟県での予防のポイント
食文化を楽しみつつ、塩分の摂取を減らすことが重要です。例えば
味噌汁は1日1杯までにする。
漬物や塩鮭は控えめにし、薄味の調理を心がける。
野菜を多く摂り、塩分の排出を助けるカリウムを増やす。
また、雪国で冬場の運動量が減りがちですが、室内での軽い運動を習慣化することも効果的です。
高血圧の治療法
プラーカ中村クリニックでは、患者様のライフスタイルに応じた食事運動療法、薬物療法を行い、最適な血圧コントロールを目指します。
いったん薬を始められたら一生止められないって本当?
いいえ。高血圧は生活習慣病です。
食事や運動といった生活習慣の改善により薬を減らしたり、止めることが可能です。
高血圧薬の種類
利尿薬(余分な水分を排出)
例: ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン
働き: 体内の余分な水分や塩分を尿として排出し、血圧を下げます。
ポイント: むくみ改善にも効果。
カルシウム拮抗薬(血管を広げる)
例: アムロジピン、ニフェジピン
働き: 血管を広げて血流をスムーズにし、血圧を下げます。
ポイント: 効果が速やか。
ACE阻害薬/ARB(血管を狭めるホルモンを抑える)
例: エナラプリル(ACE阻害薬)、ロサルタン(ARB)
働き: 血管を狭めるホルモン(アンジオテンシンII)の作用を抑え、血圧を下げます。
ポイント: 腎保護効果があるため、糖尿病や腎臓病の方にも適しています。
β遮断薬(心臓の働きを穏やかにして負担を減らす)
例: ビソプロロール、アテノロール
働き: 心臓の働きを抑え、血圧を下げます。
ポイント: 心不全や心筋梗塞を経験した方、不整脈のある方で、心臓を保護。
アルドステロン受容体拮抗薬(MRA)
例: ミネブロ(エサキセレノン)、スピロノラクトン
働き: 血圧を上げるホルモン「アルドステロン」の作用を抑え、血圧を下げます。
ARNI(新しいタイプの薬)
例: エンレスト(サクビトリル/バルサルタン)
働き: 血管を広げたり、ナトリウム排泄を促したりして血圧を下げます。特に心不全の方に効果的です。
ポイント: 心不全の症状を改善し、死亡や入院のリスクを下げます。
よくある質問
高血圧の薬は、症状を抑えるだけでなく合併症の予防にも重要な役割を果たします。ただし、体重減少や生活習慣の改善で血圧が安定すれば、医師の判断で減薬や中止が可能な場合もあります。自己判断での中止は危険ですので、必ず医師と相談してください。
家庭血圧は、リラックスした状態で毎日測定できるため、より正確な血圧管理に役立ちます。一般的には家庭血圧の方が診察室血圧よりも5〜10mmHgほど低く出る傾向があります。家庭血圧が135/85mmHg以上の場合、高血圧と判断されることがあります。
減塩は高血圧対策として非常に重要ですが、それだけで十分な人もいれば、他の要因(ストレス、体重、飲酒、運動不足)が影響していることもあります。減塩だけで血圧が下がらない場合は、生活全体を見直し、医師と相談しながら適切な治療を進めましょう。
はい、有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、自転車など)は血圧を下げる効果があります。週に合計150分以上を目安に、無理のない範囲で続けることが大切です。持病がある方は、運動内容を医師に相談してください。
高血圧を長期間放置すると、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病など、命に関わる合併症を引き起こす恐れがあります。特に自覚症状がないまま進行するため、日頃からの管理と定期的な受診が非常に重要です。
参考文献
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日本高血圧学会 編『高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)』
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厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
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日本高血圧学会 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子(PDF)
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Minds(日本医療機能評価機構)「高血圧治療ガイドライン2019」概要
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日本医師会「かかりつけ医の高血圧症管理」研修資料