高脂血症とは
高脂血症は生活習慣病の一種で、脂質異常症ともいわれ、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が異常に高い状態です。
これにより動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増大してしまいます。
プラーカ中村クリニックには高血圧を専門的に診察できる総合内科専門医、内科認定などが複数在籍しています。
新潟県では
厚生労働省の2017年患者調査によれば、新潟県の脂質異常症患者数は人口10万人あたり207.32人と報告されています。 これは全国平均(人口1万人あたり174.02人)を上回っており、県民の健康にとって重要な課題となっています。
生活習慣病は、他の生活習慣病と合併しやすいため注意が必要です。
治療開始の判断
高脂血症の治療開始は、年齢、既往歴の有無、喫煙歴で大きく変わりますが、下記のうち1つでも当てはまる場合は受診したほうがよいでしょう。
- LDLコレステロール>140
- 喫煙者
- 男性>45歳、女性>55歳
- 既往歴あり
- 心筋梗塞や狭心症の家族歴

動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス(日本医師会)より
特に問題となる既往歴
下記の疾患の既往がある場合、より厳格なLDLコレステロールや中性脂肪のコントロールが求められます。
- 心筋梗塞や狭心症
- 糖尿病
- 腎機能異常
- 末梢動脈疾患
- 脳梗塞
高脂血症の原因とリスク要因
高脂血症の主な原因には、食生活の乱れ、運動不足、遺伝的要因が含まれます。
新潟県では、伝統的な食文化や生活習慣で塩からい物の摂取が多くなりがちです。
高塩分食品を多く摂る食事では、脂肪分の多い食品(加工肉や塩辛など)が増えやすく、コレステロールや中性脂肪が高くなる可能性があります。
高脂血症の症状
高脂血症は多くの場合、初期段階では症状が現れません。しかし、実は下記のように重大な合併症のリスクを高めてしまう「サイレントキラー」です。
心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増加
血管内にプラーク(脂肪の塊)が蓄積し、動脈硬化を引き起こすためです。その結果、血管が狭くなり、血液の流れが妨げられ、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気が突然発生する可能性があります。
例えば、脂質異常症の人は、そうでない人に比べて虚血性心疾患(心筋梗塞など)を発症する確率が最大4倍高くなるとされています。
(参考:日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版』)。
動脈硬化性疾患の進行
動脈硬化が進行すると、足の血流が悪化し、間欠性跛行(歩くと足が痛む)や、さらに進行して足の壊疽(えそ)に至るケースもあります。最悪の場合、足の切断が必要になることもあります。
慢性腎臓病(CKD)の悪化
高脂血症がある患者では、慢性腎臓病(CKD)の進行が平均1.5倍速くなることが知られています。
慢性腎臓病が進行すると、人工透析が必要になることもあります。更に、腎機能が低下すると、心筋梗塞などの心血管イベントが2~3倍に増加します。
(参考:Wheeler DC et al., "Chronic kidney disease and lipid management: contemporary approaches and treatment considerations." Kidney Int Suppl. 2013)。
高脂血症の治療法
プラーカ中村クリニックでは、患者様一人ひとりに合わせた生活習慣の改善指導や、薬物療法を提供しています。
いったん薬を始められたら一生止められないって本当?
女性ホルモンが影響している悪玉コレステロール上昇は、残念ながら生活習慣の向上により改善しないことが多いです。
ただし、食生活や運動習慣が高脂血症の原因となっているパターンでは、生活習慣の改善により薬を減らしたり止めることができます。
主な薬物治療
スタチン系薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
作用機序: 肝臓でのコレステロール合成を抑制し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させる。
フィブラート系薬
作用機序: 脂肪酸の代謝を促進し、トリグリセリド(中性脂肪)を低下させる。
小腸コレステロール吸収阻害薬
作用機序: 小腸でのコレステロール吸収を抑え、LDLコレステロールを低下させる。
PCSK9阻害薬
作用機序: PCSK9というタンパク質を抑制し、肝細胞におけるLDL受容体の分解を防ぐことで、LDLコレステロールを劇的に低下させる。
EPA製剤(エイコサペンタエン酸)
作用機序: 血中のトリグリセリドを低下させ、HDLコレステロールを増加させる。
薬剤選択のポイント
LDLコレステロールの低下が主目的: スタチン系薬が第一選択。
トリグリセリドの低下が主目的: フィブラート系薬やEPA製剤を使用。
スタチンで十分な効果が得られない場合: PCSK9阻害薬やエゼチミブを併用。
具体的な薬剤の選択は、患者の状態やリスクファクター、併存疾患に基づいて行われます。