過敏性腸症候群(IBS)

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過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(IBS) は、腸の運動機能に異常が生じ、慢性的な腹痛や便通異常(下痢、便秘、またはその両方)が繰り返される病気です。IBSは腸の構造的な異常や炎症が原因ではなく、腸の機能的な問題 によるものです。
 

IBSの4つのタイプ

 

下痢型(IBS-D)

主に下痢が主な症状。

便秘型(IBS-C)

主に便秘が主な症状。

混合型(IBS-M)

下痢と便秘が交互に現れる。

分類不能型(IBS-U)

便通異常が明確に分類されない場合。

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、複数の要因が影響を与えるとされています。
 

主な原因

ストレス

IBSは精神的なストレスと密接に関連しており、特に緊張や不安が症状を悪化させることがあります。
 

腸の過敏性

腸の神経が通常よりも敏感になり、正常な消化活動が”異常な痛みや不快感”として感じられることがあります。
 

腸内環境の乱れ

腸内の細菌バランスの乱れや食べ物が消化に影響を与え、症状を引き起こすことがあります。
 

食事や生活習慣

特定の食べ物や食生活、過度なカフェイン、アルコール、脂肪分の多い食事が症状を悪化させることがあります。
 

ホルモンの変動

特に女性では、ホルモンの変動が症状に影響を与えることが多く、月経周期に伴って症状が悪化することがあります。

過敏性腸症候群の主な症状

IBSの症状は個人差があり、以下のような症状が繰り返し現れます。
 

主な症状

腹痛や腹部の膨満感など

 特に食後やストレスを感じた後に発症しやすい。
お腹が張る、ガスが溜まりやすい。おならが多くて困る。くさい。
 

便通の異常

 下痢、便秘、または下痢と便秘の交互発生。
 

IBSの特徴的な点

症状が数日から数週間以上続くことが多い。
 ストレスや疲れ、食生活によって症状が悪化することが多い。
血便や発熱、体重減少などの危険な症状は見られないことが一般的。

過敏性腸症候群の診断

過敏性腸症候群の診断には、他の消化器疾患を除外することが重要です。診断基準としては、ローマ基準(Rome IV)が使用されます。
 

診断方法

下記を必要に応じて組み合わせます。

 問診

症状の持続期間、便通異常のパターン、ストレスの有無などについてお伺いします。
 

 血液検査・便検査

炎症や感染症の有無を確認します。
 

 大腸内視鏡検査

特に血便や体重減少がある場合、大腸の異常を除外するために内視鏡検査やCTによる他疾患の除外を行うことがあります。

治療方法

IBSの治療は、症状を和らげ、生活の質を改善することを目的としています。個々の症状に応じて、次のような治療が行われます。
 

生活習慣と食事の改善

低FODMAP食

腸に負担をかけやすい食事を避ける方法です。

 ストレス管理

リラクゼーションやストレス管理が症状改善に効果的です。
 

薬物療法

 当院では、主に次のような薬の組み合わせを用います。

 腸の動きを整えるタイプ

 下痢や便秘といった異常な便性状を整えるタイプ

 脳の過敏性を落としてリラックスさせるタイプ
他に、整腸剤などが適宜用いられます。
 

胆汁性下痢

IBSととても似た症状をきたす疾患として胆汁性下痢があります。
朝の下痢や脂っこいものを食べた後の腹痛・下痢が特徴で、IBSと誤診されることも少なくありません。
IBS薬ではなく専用の薬があり、きちんと診断すれば治療可能です。IBSと診断されていても改善しない方は、一度ご相談ください。

過敏性腸症候群のリスクと合併症

IBSは命にかかわる病気ではなく、他の消化器疾患のリスクを高めることもありませんが、日常生活の質を低下させる 可能性があります。

合併症としてのリスク

慢性的なストレスや不安

IBSによる腹痛や便通異常が長引くことで、心理的なストレスが蓄積しやすくなります。

 生活の質の低下

腹痛や便通の不安から、仕事や学校、社会生活に支障をきたすことがあります。

よくある質問

IBSは、慢性的に腹痛や下痢・便秘が繰り返される機能性疾患で、明確な器質的異常は見つかりません。一方、一時的なお腹の不調はストレスや食事による一過性のものが多く、継続性がありません。

IBSは基本的に除外診断です。血液検査・便検査・内視鏡検査などで他の疾患(炎症性腸疾患や感染性腸炎など)を除外した上で、症状と国際基準(ローマ基準)に基づいて診断します。

ストレスはIBSの重要な要因のひとつですが、すべての原因ではありません。腸の知覚過敏、腸内細菌のバランス、自律神経の乱れなど複合的な要因が関与します。

IBSのタイプ(下痢型、便秘型、混合型)により注意点は異なりますが、共通して食物繊維のとりすぎ、脂質の過剰、カフェイン・アルコールの摂取などは控えめが望ましいです。FODMAP食の考え方も有効です。

IBSは完治が難しい場合もありますが、生活習慣の見直しや薬物治療で十分にコントロール可能です。個々の症状に合わせて、継続的なサポートが有効です。

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