膵臓がん

PANCREATIC CANCER

HOME | 病気の知識 | 膵臓がん

当院は、すい臓がんの早期発見を目指すクリニックです

すい臓がんは早期発見がカギ!

すい臓がん(膵臓癌)は、「見つかった時には手遅れな癌」の代名詞として有名です。
年々、患者数が増えているにもかかわらず、通常検診で見つけにくく見つかったとしても手術ができる割合は約20%です。
 
プラーカ中村クリニックには消化器内科専門医、消化器内視鏡専門医が複数在籍しており、検査から治療までを専門的に行っています。
 
膵がんの増加の推移

(膵がんの年次推移; 国立がん研究センターがん対策情報センターの統計より)

それでは、どうやったら私たちは膵がんを早期発見できるのでしょうか。
 

何をすればいいの?

まずは、毎年のドックや検診で腹部エコーを受けましょう。
また、お腹に違和感や痛みを感じたときも、早めに受診するとよいでしょう。
腹部エコーで少しでも異変があったり、症状が長引く場合、すぐにMRIや造影CTなどの追加検査が受けられる環境が理想です。
 
当院では、これらの検査を迅速かつ正確に行える体制を整え、あなたの健康をサポートします。

膵がんになりやすい人

膵がんになりやすい人が研究により特定されています。
生活習慣や、病気によりリスクが上がることがわかっており、下記に当てはまる方は特に注意が必要です。
カテゴリー リスクファクター オッズ比 説明
生活習慣 喫煙 2.0~3.0 喫煙者は非喫煙者に比べてリスクが2~3倍高い
アルコール 1.2~1.5 過度の飲酒者はリスクが1.2~1.5倍高い
肥満 1.2~1.5 BMIが高い肥満者はリスクが1.2~1.5倍高い
食生活(高脂肪食) 1.2~1.5 高脂肪食や加工肉の摂取はリスクを増加させる
健康状態 糖尿病 1.5~2.0 特に2型糖尿病患者のリスクが1.5~2倍高い
慢性膵炎 2.0~5.0 長期の膵炎患者はリスクが2~5倍高い
膵のう胞 2.0~5.0 特定の膵のう胞は膵がんリスクが高い
感染症 感染症(H. pylori) 1.5~2.0 ヘリコバクター・ピロリ感染でリスクが上昇
年齢 数値無し 60歳以上の高齢者はリスクが上昇
家族歴 家族歴 2.0~3.0 家族歴がある場合、リスクが2~3倍高い

膵がんの発育

膵がんは、膵管から発生します。
しこりは、徐々に大きくなり、膵管を閉塞させるので膵液が渋滞を起こし膵管拡張が起こります。
「腫瘍ははっきり見えないけど膵管拡張がある」くらいで見つけることができれば、早期発見といえることが多いです。
その後、腫瘍が大きくなると、がん細胞がお腹に散らばったり、遠くに転移し全身に広がっていきます。
 

膵がんの検査

腹部エコー(超音波)検査

一般的な検診などで用いられる、最も簡単な膵がんの発見方法です。しかし、膵臓はお腹の深い位置にあることでよく見えない場合が多く、これが膵がんの早期発見が難しい原因となっています。
 

MRI、造影CT

そこで、当院ではエコーで膵管拡張などの副所見を丁寧に評価し、気になる所見がある場合はMRIや造影CTなどの検査を追加して診断の精度を高めています。

検査ごとの診断精度

検査方法 感度 特異度 説明
腹部超音波
(エコー)
60~70% 90~95% 一般的なエコーでは、膵がんの早期発見が難しいが、進行したがんや大きな腫瘍は比較的よく見つかる。
造影CT 74~86% 85~90% 造影CTは膵がんの診断で一般的に使用され、腫瘍自体の描出には一番優れている。
MRI 79~93% 89~100% 早期発見につながる副所見の描出に一番優れている。CTに比べて放射線被ばくがない点も利点。

 

ステージ別生存率

ステージ 5年生存率 説明
ステージ I 20~30% がんが膵臓内に限局している。手術が可能で、早期発見の場合は比較的良好な予後が期待できる。
ステージ II 10~15% がんが膵臓周辺の組織に広がっているが、まだ遠隔転移はない。手術が可能な場合もある。
ステージ III 5~8% 主要な血管への浸潤があるため手術が難しく、化学療法や放射線治療が主な治療法となる。
ステージ IV 1~3% がんが他の臓器に転移している。治療は主に延命と症状緩和を目的とする。

当院の強み

・基本検査である腹部エコーの豊富な実績
・必要に応じてそのままMRIや造影CTによる精密検査を行える
これは、新潟市内でも当院独自の特長です。

一般的なクリニックでは、
検査を行って怪しい所見が見つかっても、経過観察を要したり、他院への紹介、そこでの検査予約、と精密検査に至るまでに時間を要することがままあります。
しかし、膵がんのような最も危険な癌の場合、わずかな遅れが命に関わることがあります。

当院では、患者様の状態や症状・不安に応じて、病院レベルの選択肢の中から最適な検査を迅速に提供いたします。

膵がんの前癌病変、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

膵がんの前癌病変、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

IPMNは、膵がんの前癌病変として知られています。
粘液を分泌する良性の膵のう胞性疾患で、多くの場合無症状です。
 

膵臓 36:238~244,2021 改変

 

IPMNの診断、がん化率

IPMNの診断は、超音波検査(エコー)やCT・MRI検査で行います。
 
がん化率は、大きさや形、種類によって様々ですが、1年間に1-10%、10年間で10-70%と考えられています。
 

治療は必要?

IPMNの治療方針は、リスクによって異なります。
ポイントは、腫瘍の大きさや膵管の拡張度、血液検査の結果などです。

・リスクが低い場合 → 定期的な検査を受けながら経過観察
・リスクが高い場合 → 手術で腫瘍を取り除く

よくある質問

膵がんの初期段階では、ほとんど症状がありません。
進行すると、みぞおちや背中の痛み、体重減少、黄疸(顔や目が黄色くなる)といった症状が現れることがあります。また、軽度の膵炎が起こり、腹痛やアミラーゼ上昇が見られることもあります。ただし、症状が現れる段階ではすでに進行している場合が多いため、無症状の段階で発見することが非常に重要です。

膵がんの治療可能性は、発見時の病状や転移の有無によります。
1cm以下の非常に小さな段階(ステージIのT1a)で発見されると治療の成功率が高まりますが、これは非常に難しいです。ステージIで発見されるのは全体の10%未満です。現代の技術では、5mm以下のがんの検出は稀ですが、早期発見を目指して研究が進められています。

腫瘍マーカーだけで膵がんを早期発見するのは難しいです。例えば、CA19-9は進行膵がんでは**70〜80%**の感度を示しますが、5mm以下の早期膵がんではほとんど異常を示しません。そのため、腫瘍マーカーのみではなく、定期的な画像検査や早期スクリーニングが推奨されます。

がん細胞が血液中に放出するmRNAを検出・解析し診断に継げる技術で、難治性のがんに対して有望視されていますが、いくつかの問題点があります。
1. mRNAが壊れやすいため、検出が難しいことがあります。
2. 感度が低いため、早期の膵臓癌を見逃す可能性があります。
3. 他の病気との区別が難しく、誤った診断につながることもあります。
4. 検査技術はまだ高額で複雑なため、汎用化には課題が残っています。
これらの点から、現時点では発展途中の検査だと言わざるを得ないと考えています。
 

膵がんを完全に防ぐ方法はありませんが、いくつかのリスクを減らすための対策があります。禁煙、健康的な食事、適度な運動、そして糖尿病の管理は、膵がんのリスクを減らすために有効です。また、高リスクの方は、定期的に専門医の検査を受けることが大切です。
 

膵がんのリスクが高い方は、1年に1回の定期検診を受けることが推奨されます。特に、家族歴がある方や膵のう胞(IPMN)をお持ちの方は、より厳密なスクリーニングが推奨されます。
 

当院では、膵がんが発見された場合、迅速に新潟大学医歯学総合病院、新潟市民病院、県立がんセンター新潟病院などの高度医療機関に紹介いたします。特に新潟大学では、2024年度から高度なロボット手術が導入されており、当院とも連携して最適な治療を提供しています。患者様の状態に応じて、専門医とともに最適な治療方針を速やかに検討し、最善の医療を受けていただける体制を整えています。

3割負担の場合

腹部エコー

1500円強

造影CT

7000円強

造影MRI

8000円前後

単純MRI

6000円前後

他に、診察料や採血などがかかります。