膵臓がん

PANCREATIC CANCER

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当院は、すい臓がんの早期発見を目指すクリニックです

すい臓がんは早期発見がカギ!

すい臓がん(膵臓癌)は、「見つかった時には手遅れな癌」の代名詞として有名です。
年々、患者数が増えているにもかかわらず、通常検診で見つけにくく、見つかったとしても手術ができる割合は約20%です。
 
プラーカ中村クリニックには消化器内科専門医、消化器内視鏡専門医が複数在籍しており、検査から治療までを専門的に行っています。
 
膵がんの増加の推移

(膵がんの年次推移; 国立がん研究センターがん対策情報センターの統計より)

それでは、どうやったら私たちは膵がんを早期発見できるのでしょうか。
 

何をすればいいの?

毎年のドックや検診や、腹部に症状がある際に腹部エコーを受けましょう。
特に(以降に示すような)リスク因子をお持ちの方は、しっかりと検査を受けましょう。
また、所見や経過におかしなところがあれば、すぐにMRIや造影CTなどの精査ができる環境で検査することが理想です。
 
当院では、これらの検査を迅速かつ正確に行える体制を整え、あなたの健康をサポートします。

膵がんになりやすい人

膵がんになりやすい人(リスク因子)が研究により特定されています。
 
リスクがある方は積極的に超音波検査などを行うことで、膵がん予後が大幅に上昇することがわかっています。

膵癌早期診断プロジェクト(尾道市医師会):プロジェクト開始以降、膵がん診断症例の5年生存率(5年後に存命)は21.4%と、全国平均8.5%を大きく上回っています。

 
カテゴリー リスクファクター オッズ比 説明
生活習慣 喫煙 2.0~3.0 喫煙者は非喫煙者に比べてリスクが2~3倍高い
アルコール 1.2~1.5 過度の飲酒者はリスクが1.2~1.5倍高い
肥満 1.2~1.5 BMIが高い肥満者はリスクが1.2~1.5倍高い
健康状態 糖尿病 1.5~2.0 特に2型糖尿病患者のリスクが1.5~2倍高い
慢性膵炎 2.0~5.0 長期の膵炎患者はリスクが2~5倍高い
膵のう胞 2.0~5.0 特定の膵のう胞は膵がんリスクが高い
  年齢 数値無し 60歳以上の高齢者はリスクが上昇
家族歴 家族歴 2.0~3.0 家族歴がある場合、リスクが2~3倍高い

膵がんの発育

膵がんは、膵管から発生します。
しこりは、徐々に大きくなり、膵管を閉塞させるので膵液が渋滞を起こし膵管拡張が起こります。
 

早期発見のカギとなる膵管拡張

「腫瘍ははっきり見えないけど膵管拡張がある」くらいで見つけることができれば、早期発見といえることが多いです。
その後、腫瘍が大きくなると、がん細胞がお腹に散らばったり、遠くに転移し全身に広がっていきます。
 

膵がんの検査

腹部エコー(超音波)検査

一般的な検診などで用いられる、最も簡単な膵がんの発見方法です。しかし、膵臓はお腹の深い位置にあることでよく見えない場合が多く、これが膵がんの早期発見が難しい原因となっています。
 
腹部エコーは予約不要当日検査可です。(午前受診なら朝を、午後受診なら昼ごはんを抜いてきてください。夜間診療では行えません。)
 

MRI、造影CT

そこで、当院ではエコーで膵管拡張などの副所見を丁寧に評価し、気になる所見がある場合はMRI(MRCP※)や造影CTなどの検査を追加して診断の精度を高めています。
※MRIをつかって膵管や胆管を詳細に描出する技術
 
単純CTは予約不要当日撮影可です。

検査ごとの診断精度

検査方法 感度 特異度 説明
腹部超音波
(エコー)
60~70% 90~95% 一般的なエコーでは、膵がんの早期発見が難しいが、進行したがんや大きな腫瘍は比較的よく見つかる。
造影CT 74~86% 85~90% 造影CTは膵がんの診断で一般的に使用され、腫瘍自体の描出には一番優れている。
MRI 79~93% 89~100% 早期発見につながる副所見の描出に一番優れている。CTに比べて放射線被ばくがない点も利点。
超音波内視鏡(EUS) 85~95% 90-95% 最も早期膵がん検出に優れるが、侵襲が強い。疑わしい場合は病院で行う。

 

ステージ別生存率

ステージ 5年生存率 説明
ステージ I 40-50% がんが膵臓内に限局している。手術が可能で、早期発見の場合は比較的良好な予後が期待できる。
ステージ II 20-30% がんが膵臓周辺の組織に広がっているが、まだ遠隔転移はない。手術が可能な場合もある。
ステージ III 10% 主要な血管への浸潤があるため手術が難しく、化学療法や放射線治療が主な治療法となる。
ステージ IV 3-5% がんが他の臓器に転移している。治療は主に延命と症状緩和を目的とする。

当院の強み

・基本検査である腹部エコーの豊富な実績
・必要に応じてそのままMRIや造影CTによる精密検査を行える
これは、新潟市内でも当院独自の特長です。

一般的なクリニックでは、
検査を行って怪しい所見が見つかっても、経過観察を要したり、他院への紹介、そこでの検査予約、と精密検査に至るまでに時間を要することがままあります。
しかし、膵がんのような最も危険な癌の場合、わずかな遅れが命に関わることがあります。

当院では、患者様の状態や症状・不安に応じて、病院レベルの選択肢の中から最適な検査を迅速に提供いたします。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

膵がんの前癌病変

IPMNは、膵がんの前癌病変として知られています。
粘液を分泌する良性の膵のう胞性疾患で、多くの場合無症状です。
 
膵がんの前癌病変

膵臓 36:238~244,2021 改変

 

IPMNの診断、がん化率

IPMNの診断は、超音波検査(エコー)やCT・MRI検査で行います。
 
がん化率は、大きさや形、種類によって様々ですが、1年間に1-10%、10年間で10-70%と考えられています。
 

治療は必要?

IPMNの治療方針は、リスクによって異なります。
ポイントは、腫瘍の大きさや膵管の拡張度、血液検査の結果などです。

・リスクが低い場合 → 定期的な検査を受けながら経過観察
・リスクが高い場合 → 手術で腫瘍を取り除く

MRIの予約

IPMNのフォロー目的の方は、ご自身でMRIを予約できます。
所要時間は20分前後です。
※頭部、IPMN以外の撮影予約はできません
 
 

まず

MRI予約(頭部、IPMNのみ) をとります
 

次に、

事前問診票 に記載します
 
以上で完了です!

よくある質問

膵がんの初期段階では、ほとんど症状がありません。
進行すると、みぞおちや背中の痛み、体重減少、黄疸(顔や目が黄色くなる)といった症状が現れることがあります。また、軽度の膵炎が起こり、腹痛やアミラーゼ上昇が見られることもあります。ただし、症状が現れる段階ではすでに進行している場合が多いため、無症状の段階で発見することが非常に重要です。

膵がんの治療可能性は、発見時の病状や転移の有無によります。
1cm以下の非常に小さな段階(ステージIのT1a)で発見されると治療の成功率が高まりますが、これは非常に難しいです。ステージIで発見されるのは全体の10%未満です。現代の技術では、5mm以下のがんの検出は稀ですが、早期発見を目指して研究が進められています。

腫瘍マーカーだけで膵がんを早期発見するのは難しいです。例えば、CA19-9は進行膵がんでは**70〜80%**の感度を示しますが、5mm以下の早期膵がんではほとんど異常を示しません。そのため、腫瘍マーカーのみではなく、定期的な画像検査や早期スクリーニングが推奨されます。

がん細胞が血液中に放出するmRNAを検出・解析し診断に継げる技術で、難治性のがんに対して有望視されていますが、いくつかの問題点があります。
1. mRNAが壊れやすいため、検出が難しいことがあります。
2. 感度が低いため、早期の膵臓癌を見逃す可能性があります。
3. 他の病気との区別が難しく、誤った診断につながることもあります。
4. 検査技術はまだ高額で複雑なため、汎用化には課題が残っています。
これらの点から、現時点では発展途中の検査だと言わざるを得ないと考えています。
 

膵がんを完全に防ぐ方法はありませんが、いくつかのリスクを減らすための対策があります。禁煙、健康的な食事、適度な運動、そして糖尿病の管理は、膵がんのリスクを減らすために有効です。また、高リスクの方は、定期的に専門医の検査を受けることが大切です。
 

膵がんのリスクが高い方は、1年に1回の定期検診を受けることが推奨されます。特に、家族歴がある方や膵のう胞(IPMN)をお持ちの方は、より厳密なスクリーニングが推奨されます。
 

当院では、膵がんが発見された場合、迅速に新潟大学医歯学総合病院、新潟市民病院、県立がんセンター新潟病院などの高度医療機関に紹介いたします。特に新潟大学では、2024年度から高度なロボット手術が導入されており、当院とも連携して最適な治療を提供しています。患者様の状態に応じて、専門医とともに最適な治療方針を速やかに検討し、最善の医療を受けていただける体制を整えています。

3割負担の場合

腹部エコー

1500円強

造影CT

7000円強

造影MRI

8000円前後

単純MRI

6000円前後

他に、診察料や採血などがかかります。