低FODMAP食

LOW FODMAP DIET
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低FODMAP食とは

低FODMAP食 は、過敏性腸症候群(IBS)やその他の機能性消化器疾患の症状を軽減するために開発された食事法です。
 
FODMAPとは、特定の炭水化物の総称で、これらの炭水化物が腸内でうまく消化されないことで、腹痛やガス、下痢、便秘などの消化器症状を引き起こすことがあります。低FODMAP食では、これらの炭水化物を一時的に減らし、消化器症状の改善を確認します。
ただし、この治療法が非常に有効なことがある反面、無効だったり、一部の人には逆効果だったり、極端に行うことで栄養状態を損ねたりすることもあるので注意が必要です。
 
低FODMAP食 とは、消化が難しく、腸内で発酵しやすい炭水化物の摂取を制限する食事法です。
「FODMAP」とは、次の炭水化物を指します。
 

FODMAP

 Fermentable(発酵性)
 Oligosaccharides(オリゴ糖)
 Disaccharides(二糖類)
 Monosaccharides(単糖類)
 Polyols(ポリオール、糖アルコール)
 
これらの炭水化物は消化吸収されにくく、腸内で発酵しやすいため、過敏性腸症候群(IBS)や機能性消化不良の方にとって、腹痛、膨満感、ガス、下痢、便秘を引き起こす要因になります。
低FODMAP食 では、これらの成分を含む食品を制限し、消化器症状を軽減します。

FODMAPの種類

FODMAPに含まれる炭水化物は、次のようなものがあります。
 

1. オリゴ糖(Oligosaccharides)

フルクタン

小麦、大麦、玉ねぎ、ニンニクに含まれる。

ガラクトオリゴ

糖豆類やレンズ豆に含まれる。

 

2. 二糖類(Disaccharides)

ラクトース

乳製品(牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなど)に含まれる。

 

3. 単糖類(Monosaccharides)

フルクトース

果物(リンゴ、マンゴーなど)やハチミツ、高果糖コーンシロップに含まれる。

 

4. ポリオール(Polyols)

ソルビトール、マンニトール

人工甘味料、糖アルコール、リンゴ、ナシ、キノコなどに含まれる。

低FODMAP食が有効な理由

FODMAPに含まれる炭水化物は、小腸で消化吸収されにくく、腸内で水分を引き寄せ、腸内細菌によって発酵します。これにより、ガスや膨満感、下痢などが発生しやすくなります。
 
低FODMAP食では、これらの消化しにくい炭水化物を一時的に制限 し、腸内での発酵を減らすことで症状を緩和します。
 

低FODMAP食の効果

腹痛や膨満感の軽減

消化しやすい食材に切り替えることで、腸内のガス発生を抑えます。

下痢・便秘の改善

便通を安定させ、消化機能を正常化します。

生活の質の向上

IBSなどの消化器症状が軽減され、日常生活での不快感が減少します。

低FODMAP食で避けるべき食材

低FODMAP食では、次のような高FODMAP食品を避けることが推奨されています。
 

高FODMAP食品

乳製品

牛乳、アイスクリーム、ヨーグルト(ラクトースを多く含む)

小麦やライ麦

パン、パスタ、ケーキなど(フルクタンを多く含む)

豆類

大豆、レンズ豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆(ガラクトオリゴ糖を多く含む)

特定の果物

リンゴ、ナシ、マンゴー、スイカ(フルクトースが多い)

特定の野菜

玉ねぎ、ニンニク、アスパラガス、キャベツ(フルクタンやソルビトールが多い)

糖アルコール

ガムやキャンディに含まれるソルビトール、マンニトール

低FODMAP食で推奨される食材

低FODMAP食では、消化に優れた低FODMAP食品 が推奨されています。
 

低FODMAP食品

乳製品代替品

ラクトースフリー牛乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク

グルテンフリー穀物

米、トウモロコシ、キヌア、そば、オーツ麦

果物

バナナ、ブルーベリー、キウイ、オレンジ、イチゴ

野菜

ニンジン、キュウリ、トマト、ズッキーニ、ピーマン

タンパク質源

鶏肉、牛肉、卵、魚、豆腐(固めのもの)

脂肪分

オリーブオイル、バター、ギー(精製バター)

低FODMAP食の実践方法

低FODMAP食は、通常 3つのフェーズ に分けて実践します。
詳しく述べますが、実際は個々人のペースで効果の有無を実感しながら進めていってください。
 

1. 除去フェーズ

Elimination phase

最初に、高FODMAP食品を全て避けるフェーズです。これにより、消化器症状が改善されるかどうかを確認します。通常、2〜6週間ほど続けます。
 

2. 再導入フェーズ

Reintroduction phase

次に、1つのFODMAP食品を少量ずつ再導入し、どの食品が症状を引き起こすか確認します。このフェーズでは、自分に合った食材を見極めることが目的です。
 

3. 維持フェーズ

Maintenance phase

再導入フェーズで確認した安全な食品を中心に、バランスの取れた食事 を維持します。個人に合った食事法を取り入れ、長期間の症状管理を行います。
 
 

長期的な食事制限は避ける

低FODMAP食は、一時的な食事法です。
長期間実践すると、栄養不足や腸内環境のバランスを崩す可能性があるため、再導入フェーズを経て、少しずつ食事を元に戻すことが大切です。

よくある質問

はい、特に過敏性腸症候群(IBS)の症状を持つ方に有効な可能性があります。

除去フェーズは通常2〜6週間ほど行います。その後、再導入フェーズで個別の耐性を確認し、最終的には長期的な維持フェーズに移行します。

再導入フェーズでは、1つのFODMAP食品を少量から試し、症状が出ないか確認しながら慎重に進めます。