鼠径ヘルニア

INGUINAL HERNIA

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「足の付け根が膨らむ」「立つと痛い」「最近、脱腸かもしれない」と感じる方のために、原因・症状・検査・治療法をまとめた解説ページです。

1. 鼡径ヘルニアとは

腹壁の弱い部分から腸などの腹腔内組織が皮膚の下へ飛び出す状態を指し、一般的に「脱腸」と呼ばれます。
 

2. よくある症状

以下のような症状がある場合、鼡径ヘルニアが疑われます。

  • 鼡径部(足の付け根)のふくらみが、立つと出て横になると引っ込む

  • 長時間歩いたり重い物を持つと張る・痛む

  • 触ると「ぽこっ」と戻る感触がある

 

危険なサイン(嵌頓=腸の阻血の可能性)

  • 硬いしこりが戻らなくなる

  • 激しい痛み、吐き気、腹部の張り

 

3. 原因と発症しやすい方

主な要因は「腹圧の上昇」と「筋肉・組織の弱り」に加え、生まれつきヘルニアの袋が残ってるためです。
 

発症リスクが高いケース

  • 加齢による筋力低下

  • 慢性的な咳、便秘、重い物を扱う仕事

 

4. 診断の流れ

当院では以下の手順で評価します。

  1. 視診・触診:立位や仰臥位で膨らみの出現を確認

  2. 超音波検査:突出部位や腸の状態を確認

  3. 必要に応じて画像検査:痛みの程度や嵌頓の疑いに応じて対応

 
症状が軽くても、早期に評価することで手術のタイミングや生活上の注意点を最適化できるメリットがあります。
 

5. 治療法

成人の鼡径ヘルニアは、根治には手術が必要です。通常、1日~数日の入院が必要です。
 

主な手術法

1. 腹腔鏡手術(TAPP/TEP)
2. 前方アプローチ(メッシュ法)

 

6. 手術を検討すべきタイミング

以下にあてはまる場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 膨らみが徐々に大きくなっている

  • 痛みや違和感が増えてきた

  • 仕事中・スポーツ中の支障が出始めている

  • 嵌頓(腸が戻らなくなる)が心配で生活が不安

 

7. 日常生活で気をつけたいポイント

治療までの期間に実践しやすい対策です。

  • 重い荷物を避ける

  • 便秘を放置しない

  • 咳が続く場合は治療する

  • 長時間の立ちっぱなしを控える

  • ふくらみが戻らず痛む時は放置せず受診する

 

8. よくある質問(Q&A)

Q1. 脱腸は自然に治りますか?

治らないため、根治には手術が必要です。近隣の病院をご紹介いたします。
 

Q2. 放置するとどうなりますか?

肥大化して戻りにくくなり、腸閉塞など重い合併症のリスクが高まります。
 

Q3. どんな人が手術に向いていますか?

膨らみの増大・日常生活への支障・不安感がある方は、早めの手術が推奨されます。
 

Q4. 手術後はいつ仕事に戻れますか?

入院は1日から数日が一般的です。